2009年5月5日火曜日

『すべての経済はバブルに通じる』

新しくはないですが、小幡績氏の『すべての経済はバブルに通じる』を読みました。

すべての経済はバブルに通じる

発行が2008年8月ということで、「リーマン破綻」以前なんですが、いわゆる「サブプライム問題」をきっかけにした一連の金融危機の基本的なことがよくわかる感じだと思います。

個人的にはこれを読んで、投資における流動性リスクというものが、あらためてよくわかった感じがしました。そんなの「さわり」でしかないんだけど。

バブルはバブルの最中は気づかずに崩壊して初めて気づくものではなくて、ほとんど誰もがバブルに乗って儲けている事を知っているのだという事。そして、バブルは繰り返し発生するという事などがポイントでしょうか。

P.242

20世紀までの古典的なバブルにおいては、中央銀行が通貨をコントロールすることにより、発熱した子供のおでこに氷を当ててやるくらいのことはできた。しかし、21世紀のリスクテイクバブルをはじめてとするキャンサーキャピタリズムは、金融資本市場に構造的に埋め込まれてしまっているから、これを除去することは不可能である。キャンサーキャピタリズムにおける金融資本の自己増殖願望を根絶しない限り、発症および増殖をとめることはできないのだ。

但し、ここで「不可能」とあっさり言い切ってしまう所には違和感を感じた。
「バブルは繰り返しどこかで発生する」という事と裏返しで同じ事を言っているのだろうけど、「不可能」と言い切る事でそれまでに感じていたある種の「ゆるさ」が突然絶たれた感じでしょうか。

それに「発熱した子供のおでこに氷を当ててやる」のも対症療法でしかなくて、別にバブルそのものを除去できていたわけでもないだろうし。

どこかでバブルが始まると様々な要因からその加速度が凄い事になるのが現代だというのは感覚的にはわかるけど、過去のバブルとそんなに言う程違うものかはよくわからない、という気がしました。

いずれにしても、自分が投資にどんなスタンスで臨むとしても、市場はこういう原理で動くものだと承知しておくべき事がいろいろと書かれていると思います。

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