ちょっと前に読んだ本。深田和範氏による新書。
多くの日本企業がマネジメントさえうまくやればなんとかなる、と勘違いしてマネジメント信仰に陥り、本来取り組むべき「ビジネス」を疎かにしている、と警鐘を鳴らす。
『もしドラ』なんかがベストセラーになったりして、「マネジメント」があらためて注目されているかのような折に、真逆を行く内容かと思わせるつかみではあります。
マネジメント信仰が会社を滅ぼす
序章 マネジメントがビジネスをダメにする
第1章 症状(1)意見はあっても意志はなし
第2章 症状(2)都合のよいことばかりを考える
第3章 症状(3)管理はするけど無責任
第4章 症状(4)顧客よりも組織を重視する
第5章 日本企業の危機的状況
第6章 経験と勘と度胸を重視せよ
第7章 他人を変えるより自分が変われ
「マネジメント信仰」に陥った具体的な症例を挙げた上で、ではどうすべきか、を著者なりにまとめた、といった内容であります。
「経験と勘と度胸を重視せよ」とか「他人を変えるより自分が変われ」とかいうのは、私個人的にはまさに日々思っていることでもあり、基本的に同意しているんだけど、結局は自己啓発的な方向で締める感じは、なんだかなあという印象でもありました。
どうしてそう言い切れるのかわからない所なども時々ありましたが、まあ、これも著者の「経験と勘と度胸」で書き上げた、という事でよいのだろう。
SI業界における、プロジェクトマネジメントに関する問題などにも多少通じるところがあるなー、などと思ったりもしました。
「マネジメントさえしっかりやっておけばよい」とか「何よりもまずマネジメントをしっかりやらなければいけない」とか考えている奴らがたくさんいるというか。
最も害だと思うのは、マネジメントやる人間の方が偉そうに扱われる事が多いって事かな。
本書読んでいて、マネジメントは主役じゃない、脇役なので、こういう所こそ専門化された人間を雇って、管理させるっていうのはありだな、とは思った。
今までITSSとかの専門職種に「プロジェクトマネージャ」とあるのがどうもしっくりこなかったのだが、その辺を自分なりにやっと消化できたというか、一応意味はあるなとわかった。
要するに管理する側とされる側は上下関係じゃなくて、ただの役割分担だという事にしていく必要があるんだと思う。
まあ実際には現場で何が行われているのかをわかっていなければ、意味のある管理はできないんで中々難しいのはわかるけど、なんとかそういう方向に持っていけないものかと思う。
プロジェクトマネジメントを専門的にやる部門を作ったりとか。
大手SIerなんかは既にかなりの部分そんな感じなのかもしれんね。
表向きは何かの技術やソリューション担当となっていて多少の専門知識は必要だけど、実際のプロジェクトで手を動かすのは協力会社の技術者なんで、それらを取り纏め管理するのが主な仕事みたいな。まあ、個人的にはそんな人は見たことなくって想像ですけどね。
この場合も受発注の上下関係が入ってきてしまうのでどうかな?と思うわけですね。
コンサルファームなんかは「PMOだけ」みたいな立場で入っている事もあるかな。そんなふうに割り切った方がむしろいいかもしれない。
あまりまとまりがなくなってきましたが、本書を読んで私自身も「マネジメント」ではなくて「ビジネス」をしたい側だなと思った。
いや、勿論「マネジメント」でもその役割に徹するならできるなとは思うけど、それってまさに本書で挙げられているような「マネジメント信仰」の中に入っていくようなもので、やってて楽しくないだろうなと思うわけで。
最後に一言だけ引用。
「マネジメントなんて小難しいことを言っていないで、さっさとビジネスを始めよう」いや、まさにね。そういうことです。
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